将来がどうなるのか不安でたまらないこの頃、「xx年にはこうなる」という予測ものの記事にすぐ飛びついてしまいます。でもそうした記事の大半には価値がなく、すぐに消えていってしまいます。2100年には日本の人口は半分になってしまう、どうする、などと言われても、そもそもその頃には僕らは死んでるし、第一20世紀初頭の人が21世紀の未来など絶対に想像できなかったように、そんな議論は時間つぶしでしかないのだと思います。
僕らに必要なのは100年後でも、いや10年後でもなく、1年後にどうなっているかを予想する能力です。それは楽しくもなんともない作業です。文字通り明日の予想なんて、天気予報みたいなもので夢がありません。それでもそれが必要なのは、生きる必要があるからです。1年後にどうなるかを予想する能力は、絶え間なく変化が続くこれからの時代において必須になるでしょう。(「未来予想」を売り物にする記事・コンサルタント・評論家の真贋を見分ける方法は、1年後の未来を語れるかどうか、で決まりそうです。)
ではどうやって、未来を予想すればいいのか、ですが、やることは「予想」ではなく、「観察」だと思います。映画「マトリックス」のネタ元ともなった現代SFの古典、「ニューロマンサー」を書いたウィリアム・ギブソンが言う通り、未来はすでに存在しているからです:「未来はすでに到来している。一度にやってこないだけだ」
The future is already here – it’s just not very evenly distributed.
老人の数が増えすぎて福利厚生が破綻するシナリオは日本が、金融操作が暴走する悪夢はヨーロッパが、極端な格差社会の現実は中国が、と国家単位でも将来の姿を見せてくれている他、アパートを複数人でシェアする生活、自宅で野菜を「生産」する方式、一生引退しない生き方など、局所的にいろいろな試みが多く始まっており、どれが未来の主流になるかは別として、未来の可能性はほぼ全て、発芽しているはずです。
「未来予想」に必要なのは豊かな想像力よりも、鋭い観察眼であり、現在発生している無数の事象から、次の巨大なうねりに変化する流れをいかに読み取るか?が勝負(のようなもの)になるでしょう。
現在起こっている「プチ・トレンド」の一覧を見るなら、この本「Microtrends」がおすすめです。(和訳もあります)ぜひどうぞ。数年前に出版された本ですので、その当時は「プチ」だった現象が、今や主流になっている事例も数多くあります。ぜひ。