閑話休題:謙虚なスーパースターの実例

テレビを持たないので、暇つぶしに映像を見る際にはYouTubeのお世話になっています。暇つぶしなので、10分程度で終わるのもちょうどいいですし。最近はLionel Messiという、世界最高のサッカー選手の映像が好みです。この人はおそらくペレやマラドーナを抜いて、史上最高の選手として後世に名を残すでしょう。

通常、名選手というとゴールシーンがハイライトになるのですが、メッシの場合はゴールに至る前の過程こそに魅力が凝縮していると考えています。彼の最大の武器はボールを自由自在にあやつるコントロール力にあり、かつ他のスター選手のように派手なパフォーマンスを行いません。常に最も少ない労力でゴールを狙っているので、彼のゴールはキーパーの逆をついて転がせたり、ふわっと浮かせたり、とあっけないものが多いです(キーパーにとっては最も屈辱を味わされる選手でしょう)。以下、彼のドリブルを堪能してみてください。

メッシが過去の「世界一」と全く異なるのは、その人格です。日本人ですら恐縮したくなるほど、謙虚で人なつこく、常にチームを立てます。チームメイトもまた、彼を愛しているようです。Telegraph紙より:

It does not take long, when talking to anyone who has dealt closely with Messi, to discover an almost awe-struck admiration for the way he handles the unnatural pressures of being the world’s best in the world’s game. “Being the best player in history, he could behave in a different way but he is just such a lovely person, creating a great atmosphere in the dressing-room,” says Gerard Piqué in a tribute reflected by all his teammates.

メッシに近い人物に話を聞くと、誰に聞いてもすぐに、メッシが世界一の選手としての異常な重圧を扱うやり方に畏敬の念を覚える、と答えます。「史上最高の選手ならそれらしく振る舞ってもいいのにそうしないんだよ。あいつは単にすごくいい奴なんだ。ロッカールームでの雰囲気は最高だよ」とジェラール・ピケは言い、他の全てのチームメイトも同意しています。

彼が前人未到の記録を達成し続けるのも、チームがサポートしてくれるからこそなんでしょう。そう考えると、個人に与えられる記録の、いったいどれぐらいがチームの協力によるものなのでしょう。クラブはチームの一体感を高めてくれる選手により注目するでしょうし、世界一の選手が謙虚だ、というのが世界中のサッカー小僧にどれほどの良い影響を与えるか、についても考えが及びます。あと20年たたないとわからないのでしょうけど、メッシという傑物はそのサッカープレーより、人格者として後世に大きな影響を残すのではないか、と思います。(彼のプレーは誰にも真似できないので、プレー自体はメッシ自身と共に引退するだろうと思います)

最後は、彼の生涯を追ったイギリスのドキュメンタリーで締めくくります。英語の勉強にもちょうどよいかと。