海外組として、こう質問されたいなあ

時々日本在住の若い方々から、海外で職を得たり住むことについての質問をいただきます。(僕の場合は台湾)何回かやってみて「うーん、これは惜しいな」と感じたことをまとめます。今後、いわゆる海外組の方にアドバイスを求める場合の参考になれば幸いです。

私たちが提供できるのは「体験談」だけです

統計とか、実態とか、グーグルに聞いたほうがよほど確実な情報は聞くだけ時間の無駄です。私たちは確かに日本で生まれ育った人よりは見聞が広いのかもしれませんが、それでも特定の業界、国、世代、しか体験できていません。なので専門家や業者の方が詳しい質問ではなく、「生の体験」が有効な質問をされてはどうでしょう。「台湾ではどうやって職を探すのが有効なのでしょう」はダメです。「xxさんは台湾で現地企業に採用されたと聞きましたが、どんな経緯でそうなったのですか」は大丈夫です。もちろん、その方法がご自身に適用できるかどうかは別問題であることは大前提として理解できますよね。

生身の自分をさらけだしましょう

ニックネームで自己紹介されたり、はてまた匿名を使用される方もいます。あなたは匿名の人に親身に何かを教える気になりますか?最低限フルネームを出し、できればツイッターやらブログやら人となりが伺える情報をそろえて、自己紹介としましょう。素性をさらしておけば、後々本当に人脈に変わる可能性だってあります。匿名は長い目で見て、本当に本当に本当に損ですよ。(ただ、その匿名を自分のアイデンティティとして一貫して使い続けるのなら別です。)

自分の行動が、後からくる人の待遇を決めます

僕ら海外組はよそ者として外国に生活しています。どれだけ自分は他の日本人とは違う、と自負していても、現地人から見ればただの日本人、です。なので、もし僕が家賃を払わなかったりタクシーの運転手に怒ったりセクハラをすると、やっぱり日本人はケチで乱暴でスケベだ、と思われます。そして他の日本人がアパートを借りられなくなったり、乗車拒否されたり、不審な目で見られます。不公平ですよね。でもこれは現実です。台湾の方がどう考えるかは、台湾の方が決めることです。なので僕は台湾でも、決して自分からは揉め事を起こさないように気をつけています。

さて、これまで僕に質問を送ってきた方のうち、5割は僕の返事に対して何も返信してきていません。聞きっぱなし、です。たとえ回答が意に沿わないものであっても、最低限「ありがとう」「了解しました」の一言は返してください。回答を書くのにも時間と手間がかかるのです。返事が来ないたびに、もうこの人らに回答するのはやめようか、とつい思ってしまいます。もうこの人に回答するのはやめよう、ではありません。(それはとっくに決めています。)それを超えて、無関係な人にまでレッテルを貼ってしまいそうになるのです。悲しい人間の性ですね。でもあなたもそうではありませんか?そこを考えて、相手が手間をかけてくれたら最低限それを受け取りました、というメッセージは送りましょう。

おまけに:私たちは自分の体験を語りたくてしかたありません

ここまで書くと海外在住組はうっとおしすぎるだけだ、となりそうなのですが、ひとつ正直に告白します。人は誰でも、自分の人生を誰かに聞いてほしくてしかたありません。僕もそうです。なので、最初に述べた「体験しか語れない」をうまく活用してください。飲み屋で上司が「俺の若いころは・・・」と演説を始めるのを適当にうなづきながら流す要領で、僕らの「語りたい」つぼを刺激する質問をしていただければ、深夜の東京駅ホームに漂うサラリーマン以上の勢いでたまっていものを吐き出します。

最後に:それでも聞いてみたいことがある、という奇特な方に

isaokato (at) gmail (dot) comです。