なでしこVoice代表の濱田さんのインタビューサービスのシリーズです。第一弾はこちらへ。
インタビューを受けようと考えた大きな理由は、数多くのインタビューをこなしてきた方に、自分を掘り下げて知る手伝いをしてもらおうと考えたからです。
僕は普段から自分と周りの世界についての「仕組み」を知りたくて仕方がありません。これは帰国子女として海外でも日本でも社会の「仕組み」や「空気」を読めず、うまくなじめずに右往左往した頃のくせが続いているのだろうと思います。ここで言う仕組みは英語で言うWhy、つまりなぜそうなっているんだ、の部分です。
長年ものごとの仕組みや道理について考えてきて分かったことの一つは、いろいろなことを自分はすでに分かっているのだな、ということです。わかっていなければ、そもそも道理が分かっても反応できないのです。吉本ばななの本に「体は全部知っている」がありますが、あのタイトルの通り、頭が分かっていないことも、体で分かっているからこそ、新しい発見にも反応できるのだと思います。
なので、考えたり理解したりという作業は新しい知識を加えるというより、自分の中にある無意識の知恵を掘り起こす作業に近い気がします。夏目漱石は「夢十夜」の第六話で彫刻とはすでにある形を掘り起こす作業だ、と示唆していますがそれに近いですね。多くの作家が、書くという作業そのものが考えるということなのだ、と言うのも同じような感じです。
僕も、しゃべったり書いたりして初めて自分の考えがわかったり、自分でも知らなかった(と思っていた)ことが発見できたりすることが多いです。例えば今回のこのエントリーでも、半分は書く前には構想に入っていなかったことです。磁石が鉄を吸い寄せるように、最初は頼りない小川のようだった考えがだんだん太く、鮮明になって独自のうねりを持ち始め、書き手にすら予測がつかない方向へのびます。書くことの醍醐味はここですね。
濱田さんとの話を通じて、自分のこれまでの人生観についても同じような体験ができないだろうか、と考えたことがインタービューを依頼する理由でした。でも、これは半分本当で半分嘘です。インタビューを申し込んだ瞬間には、今回書いた理由は自分の中ではまだ消化できず、直感としてあるだけでした。それを確かめるために申し込んだ、と言えるかもしれません。それこそ、「やることで考える」を具現化していますね。