この人たちの日本語の使い方を学ぶと良いのでは

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前回ではこの人たちの英語の使い方を学ぼう、と書きました。じゃあ、日本語はどうなの、と考えてみます。僕らが何も考えずに使っている日本語だって、上手な使い方と、下手な使い方があるはずです。誰を参考にすると良いでしょう?

僕は糸井重里と谷川俊太郎をお勧めします。

糸井重里さんはほぼ日刊糸井新聞ですでに読んでいる方がほとんどでしょうね。僕も愛読しています。「今日のダーリン」から少し抜粋してみましょう。

いまごろの季節に外を歩いていると、
たくさんの花が咲いているのを見ることになります。
ほんとうは夏でも、花はたくさん咲いていますが、
寒くて静かだった冬をこえてきて、
さぁ、とばかりに咲く花を見るのは、
人間にとってもうれしいものです。

人が植えて咲かせている花を見るときには、
花をいいなぁとながめる気持ちの他に、
それをした人への、共感やら感謝やらも混じります。
そして、詠み人知らずのように咲いている花には、
野良猫に対して感じるような、
たいしたものだというふうな敬意が湧いたりします。

糸井さんの文章の素晴らしい点は、「ひらがな」が多い点です。それが独特の読みやすさを生み、誰にでもわかるけど子供向けではない文章に仕上がっています。たぶんこつはカタカナをすぐ使わないだけでなく、どこで漢字を使い、どこで使わないかを意識している点にあるのでは、とにらんでいます。

そして糸井さんの言葉には「とげ」がありません。正確に意味を書き出す、という意味ですごく「尖っている」のですが、「とげとげしく」はありません。彼の文章を読むだけで癒される、という人は(僕も含め)多いのではないでしょうか。昨今、特にネット上では言葉遣いから誤解や炎上が起こります。どうしたらそんなことにならずにすむのか、悩むときは糸井さんの言葉遣いを見てみる、のはどうでしょう。

谷川俊太郎さんについては何も説明が必要ないですよね。外国の方に、日本語を最も自由に使いこなせる人間はだれだ、と聞かれたら僕はこの人の名前を挙げます。

この二人が対談する内容を読むことで、こうやって日本語を使えばいいのか、とあらためて勉強できます。たとえば、日本語を勉強する外国人に、どの人の書く物を読めばいいのだ、と聞かれたらこの二人でまず間違いないのではないでしょうか。