「しがらみ」の科学を学ぶためにフリーであっても会社勤めの経験は重要

なでしこVoice代表の濱田さんがインタビューサービスを開始したので、お願いしました。僕は海外(台湾)に住んでいますが、男性です。インタビュー内容の前に、インタビューを終えて考えたことについてまず書きます。

フリーな人間が会社員として働くことについて

(ここで書くことは、濱田さんご自身の意向とは何の関係も無く、僕の考えを提示しているだけです)

濱田さんがフリーのままなでしこVoiceを継続させずに、あえて就職を選ばれたと聞いたときは意外な気がしましたが、よく考えると長期的には理にかなっています。なんやかんやいって、会社員はもちろんのこと、フリーや自営業で働く人にとっても企業で働く経験は非常に貴重なのです。日本企業落ちこぼれの僕が言うのもなんですが。

企業にはリソースやノウハウが凝縮しているのもさることながら、ここでは企業内のルールに注目したいと思います。身もふたもなく言えば、恒例の飲み会やら社内派閥やら人事慣行やら昇進の決まりやら根回しやら稟議書やらを全て含めた、「しがらみ」です。それがいやだ、という人が多いのはわかります。僕もそうです。ルールを好きになる必要はないと思います。でも、ルールを「理解」する必要は多いにあるのです。たとえフリーであっても。いや、フリーであるからこそ。

フリーの方は同じフリー同士で仕事を回していくことは実際にはあまりなく、多くの場合、企業を顧客にすることになるでしょう。そのときに、企業のルールを知っているかどうかで大きな違いが出るはずです。実際に客としてモノやサービスを自分で購入する際、いちいち言わなくてもこちらの事情を理解してくれる人や会社に人気が集中するのと同じ理屈だと思います。

スキルはどこでも身につけられますし、リソースは今や安価で利用できますし、ノウハウは自分で工夫することもできます。でも、ルールは実際の現場でしばらく揉まれないと理解できません。なぜかというと、ノウハウやスキルと違って、合理的である必要がないからです。内輪の結束を高めるのが究極の目標ですからね。時間を短縮したり、とか性能を高めたり、なら外部で再現できるのですが、ルールだけはその場に応じて身体で覚えるしかありません。繰り返しますが、ルールを肯定・否定するかは別問題です。

会社で働くことは実に大切なのだ、ということですね。たとえその結果が惨憺たるものであっても(私)。逆に言えば、すぐ辞めるにしても、最低限の「仕組み」を覚えた上のほうがいいだろう、ということです。

肝心のインタビューの話は次回以降に書きます。あと、日本語での情報発信を促してくれた濱田さんに深く感謝します。ほんと、人に指摘されないと自分が何を提供できるかってあまりわかりませんね。