Steel Wheels after all these years

P1010497

ローリング・ストーンズの関連グッズと言えばいまだに1989年のSteel Wheelsとそのツアーで使用されたベロデザインが使用されている。もはや元のコンサートツアーの意味を超えて、アイコンになってしまった。彼らは60年代から活躍しているから、20年以上活動した後のイメージがある意味象徴的に使われ、未だにファッションとして流通しているのは、世界的に見ても希有なのではないだろうか?

普通、アーティストを象徴するモチーフは彼らの全盛期から取られる。ローリング・ストーンズの場合、明らかにビートルズと同時期の60年代中期がそれだ。1990年頃だったか、キース・リチャーズが以前雑誌の取材に答えて、自分は今でも「サティスファクション」や「黒く塗れ」などを超える最高の名曲を作ろうとしているのだ、と答えて感動的だったのだけど、たとえ彼自身が目標を高く持っていても現実は厳しい。

Steel Wheelsは確かに久々の大ヒットとなったし、Rock in a Hard Placeは未だに歌われているし、彼らにとっては最後のあだ花(失礼)なのだけど、でも80年代だ。ある意味「失われた10年」のように語られるこの時代に作られたものが残っていて、初期のイメージがかき消されている(音楽は別として)ことをローリング・ストーンズ自身が最も驚いているかもしれない。

でも、1989年にしたって20年前の話だ。今、1989年だったら、1969年の品を眺めているのと同じだ。そういう意味では、20年たって「骨董品」と化したのだからこのベロデザインのTシャツが出回っているのは不思議な現象ではない、はずだ。それがどうも変に見えるのは、自分が1989年にリアルタイムでSteel Wheelsを聴いていた記憶があり、しかもその当時は「斬新なスタイルでストーンズ復活」ととらえられていたからだ。一旦「斬新」と覚えると多分ずっと自分の中では「斬新」なままで、「骨董」としてとらえることに違和感があるのでは、と思う。