先日、一時帰国した日本から台北へ戻る飛行機上で、台湾でゴルフを楽しむという中年男性のグループに出会った。日本からゴルフ場とホテルを予約して、飛行機は別途手配したらしい。
・台湾のゴルフ場は日本の同等レベルのゴルフ場と比較して、3分の2の価格
・よって、飛行機とホテルの金を入れても同等または割安
・冬になると日本のゴルフ場は芝が白くなってしまい、雰囲気が出ない
・台湾のゴルフ場は手入れが行き届いている(ゴルフがまだ上流階級に属しているおかげもあるらしい)
・ゴルフのパック旅行コースはあることはあるが、割高。個人手配と違うのは空港とゴルフ場との送迎の有無だけなので、特に魅力はない
年に4-5回、台北へ2泊3日のゴルフツアーにでかけるそうだ。出費がかさむのではないですか、と聞いたら、いや、おかげで余計な金を使わなくなったよ、とコメントをもらった。いつもゴルフツアーが念頭にあるから、自然と無駄な出費が減ると。
話してくれた方は50代後半くらいの、ドラマであれば部長Aまたは専務Bとして即エキストラ出演できるであろう外見と雰囲気の持ち主だった。自分が最も偏見を持って、毛嫌いしてきた年代だ。だが話を聞いているうちに、毛嫌いどころか彼に対する親近感が生まれているのを実感して驚いた。それは爽快であり、同時に居心地が悪い感じだった。
親近感を覚えたのは、自分達の手で旅行を手配し予算を管理する姿勢、客室乗務員の対応が遅れてもたいして気にしないだけの度量と経験(台湾人とのつきあいを経てきたのだろう)、基本的に人生を楽しんでいる態度、全てが交じり合って「個人として生きている人」と半ば無意識に判断したからだと思う。自分がそうありたい、と望む姿を、自分がこれまで忌み嫌ってきたはずの人の中に発見した。そして居心地が悪くなった。
実際に人と接すると、一刀両断に世代や団体を判定してきたはずの自信と根拠が簡単に崩れてしまう。また、単純な切捨ての底の浅さを自覚して、恥ずかしくなり居心地が悪くなる。