中国大陸固有の現象だと思い込んでいた「お立ち台の制服」が日本でもぼちぼちと広まりつつある。新幹線の入り口付近などちょいと威厳がありそうな場所を選んで立たせているのか、それならば最低限のやりがいはあるだろうか、と考えていたら:新宿駅の構内でサービスがはじまったようだ。
台の上に立って人を眺める。無視されるか、写真を撮られるか、避けられるか、どちらかの扱いしかうけない。道を聞くにはちょっと敷居が高いし(文字通り高いところにいるし)、おまわりさんもしくはそのような人とはなるべく関わってはいけない、と本能が教えるのでお立ち台の周りで妙な空間が生まれる。
この仕事のどこにやりがいや充実感の入る余地があるのだろう。こんな仕事を他人に押し付けることのできる人間というのはどんなやつだろうか(ただの小市民だろう。権力さえ持っていなければ無害な人間)。立っている間は何もすることが無いから彼の中で妄想だけが膨らんでいくのだろうな。こういう目にあった人がそのうち警察庁長官を狙撃したりするのだろう。一見平和でにぎやかな風景に潜む邪悪な潜在意識をとらえる、という意味でこういう被写体は絶好なのだけど、誰か写真集作らないかな。山とか海とか動物とか子犬とか裸とかはもういらない。ついでにホラー映画もいらなくなる。