カリフォルニアとフランスとニューヨークと東京で同時に電話&インターネット経由のセミナーをやった。Salesforceが提供する顧客対応のデータベースをとうとう導入してしまうのでそのトレーニング。
日本が深夜1:00、カリフォルニアが朝8:00、フランスが午後6:00くらいから開始。各地域のテンションがもろにセミナー内の発言に反映された。
カリフォルニア:朝一番 やる気満々 「何かコメントはないか?質問はないか?」
フランス:仕事おさめ 参加する気はあるけどやる気なし 「そもそもこんなのいらないよ」
ニューヨーク:昼前で波に乗っている 「これは何? あれはどう使うの?」
日本:深夜 思考スピードが遅い 「・・・あ、これ聞きたい・・・ (司会者から)質問ないね。じゃ次のテーマに行こうか!」
(自分のアパートの中から参加したもんで気が散りまくり)
これでますます日本人は意見を言わない、と思われてしまうのだろうか。
Salesforceに限らず、皆が持っている技術知識、顧客情報、やりとりの記録を一括して管理しよう、というサービスを(経営者たちが)利用する最大の理由は人材を使い捨てにしやすくなるからだと思う。知識を持ち寄ることよりも、業務を効率よくすることよりも、従業員が持っているノウハウと人脈を吸い上げて、いつでもリストラできるようにするためだ。技術面での知識は過去のメールから検索すればたいがい見つかるし、わからなければ担当者に直接聞けばいい。特定のWebサイトにアクセスして、コンタクトやら問題やらの設定をいちいちいじるよりも、メーリングリストに言いたいことを書いて送ればそれでいい。いくら情報を蓄積していっても、1年くらいで大概の情報は古くなる。フランスの同僚に完全に同意はしなくても、「こんなの本当に必要か?」とは僕も思う。
営業の人間が書いたレポートをSales…のWebサイトで読むと、必ず客先の担当者情報が詳細に書かれて、登録されている。部署、役職、職務内容、電話、メールアドレス。担当者のこうした情報をレポートを書く前にまず登録しておかなければ、レポートを書く段階でエラーが出る仕組みになっている。”The devil is in the detail” 「神(悪魔)は細部に宿る」。 名前だけ書けば済むようにはなっていない。レポートを1年間正直に書きつづければ、どんなに顔の広い営業でも自分の持っている人脈情報を全て吐き出すことになる。誰を知っているか、だけで営業が成り立つものでもないだろうけど、レポートと担当者情報をざっと眺める限りでは、ありとあらゆる仕事はトランジスタやコンデンサのような部品を組み合わせれば成立してしまうような錯覚に落ちる。戦国時代のシミュレーションのように、大勢の人間の動きを上から俯瞰しているような感覚だ。サービス会社の意図はどうあれ、人材を本当の意味で歯車のように扱いやすくするシステムなのだろう。システムそのものに問題があるわけではなく(何かを効率よくする、ということそのものに善悪はないだろうし)、それを使う人間によるのだろうけど。以前感銘を受けたソフトブレーンも、彼らが人気を博す本当の理由はそういうことなのではないか、と勘繰った。眠いからか。