運転手之恋

DVDを借りる機会があったのでこの台湾製の映画を見た。宮沢りえ主演、とあるけど彼女は脇役で、主演はさえないタクシー運転手の役の人(屈 中恒)だった。ユースケ・サンタマリアに顔が似ている。上のリンクをたどると、右上に小さく顔が映っている。顔が似ている=性格が似ている=声が似ている、という法則があるので(自分で勝手に発見した。とくに自分の嫌いな人間を探すときに結構役に立つ。本当に似ていると、最初の5秒くらいでわかってしまう)、彼もきっと才能があるのだろう。
脇役が主役より上の扱いを受ける、というのはハリウッド特有の現象ではなかったようだ。これまでに見た「実はこいつが主役です」ハリウッド映画は
Interview with the Vampire -> Brad Pitt(Tom Cruiseじゃなくて)
D3: The Mighty Ducks -> Joshua Jackson(Emilio Estebezじゃなくて)
Deep Blue Sea -> Saffron Burrows(Thomas JaneでもSamuel L.Jacksonでもなくて)
2番目のEmilio Estevezはかなり悪質な例で、映画の最初と最後に合計20分くらい出演するだけ。
3番目のDeep Blue SeaはDreamcatcher(今年一番のクソ映画)と並んで「有名スターを惨殺する」映画だ。両方にThomas Janeが出演しているのも偶然ではない。
どれだけの有名スターが殺されるかというと
Deep Blue Sea: Samuel L. Jackson, Michael Rapaport, Stellan Skarsgard
Dreamcatcher: Morgan Freeman, Jason Lee, Tom Sizemore
Dreamcatcherの方がすごい。たぶんあまりにもクソな映画なので、「頼むから殺してくれ」と本人たちがお願いしてシナリオを書き換えたのだ。
運転手・・に戻ります。
宮沢理恵、とクレジットされていたが本当は宮沢梨絵と書くのが正しいようだ。メイキングで本人がそうサインしているので間違いない。では何故理恵なのか、だが中国語の先生によれば中国語圏でも有名な山口百恵、が「恵」の字を使っているからだろう、とのこと。
宮沢りえの口の動きが妙にぎごちないな、中国語に慣れていないのだろうな、と思っていたら全編吹き替えだった。中国語で「配音」。メイキングでは日本語をあやつる彼女の姿が見れるが、しかしこの日本語のセリフがなんとも味があるというかロボチックというか。婦人警官の役なので、「あなたのような人に切符を切るのが楽しみなのよ」と日本語でしゃべる。聞いていて「やめてくれえ」と全身の筋肉が緊張した。中国語の吹き替えでよかった。
映画そのものは軽いタッチのコメディなので、お気楽に見れる。テンポも演技もストーリーも音楽も決めゼリフも何もかもが少しだけ中途半端だけど、なにかしら温かい雰囲気が伝わってきて最後まで飽きることなく楽しめた。同じ系列の映画で「ハッピー・フューネラル」というものがあったけど、運転手・・・のスタッフの技術や予算がもう少し上がったらあれになるのだろうな、と思って見ていた。
にしても台湾映画は衰退しているのだそうだ。台湾、と言えばすぐにアン・リーやらフルーツ・チャン(間抜けな名前)やらホウ・シャオシェンやらの名前が出てくるのでさぞや盛り上がっているのだろうな、と勝手に勘違いしていた。個人が突出するからといって、全体が必ずしも盛り上がっているわけではない、ということもあるのでしょうか。