梅田望夫さんのblogエントリーを読んで。
HPの社長が語るように
“Customers are less willing to experiment. “ 客は冒険をしたがらなくなっている
“The power is in the portfolio right now.” 幅広く提供できる企業の勝ち
“The bets get bigger, and fewer people are able to make them. “ 体力がなくては土俵に乗ることすら許されない
となるのだとしたら、確かにすごい変化が起こりつつあるのだろうしそのこと自体は基本的によいことだと思いたいけど、良し悪しは抜きにして、IT産業と呼ばれる世界が確実につまらなくなりつつあることを意味しているのでは、と思う。
近い将来のIT業界が現在の車業界にだぶって見える。かつてスーパーカーと呼ばれるかっこいい車がはやっていたころはもちろん、5年くらいまで、世界には大小100くらいの(もっと?)メーカーがあって、名も無いガレージメーカーが作るものすごく奇抜なデザインの車にどきどきして「世界の車カタログ」などの雑誌を読んでいた。でも数年前から環境規制やらコストダウンやらに耐えられなくなり、小さなメーカーどころか中堅クラスのメーカーまで次々と大メーカーに吸収されて今ではそうした会社はほとんど絶滅してしまった気がする。イタリアのマセラティ、ランボルギーニ、ランチア、なども皆独立した会社ではなく、極論を承知で言えばただの車種名になってしまった。
たとえ大メーカーでも、10年程度前まで、新しく出る車は確実に「進化」している気にさせられた。デザインだけをとれば。今新しく出てくる車は新しそうな機能が(カーオーディオでMD録音など、それがどうした?といいたくなるものもあるけど)てんこもりで、最新の技術を導入して環境規制にもばっちり対応して、見かけもスマートだ。でも「わくわくする」ことがもうあまりない。僕が年をとったせい、だけではないはずだ。はずだ。
次に、なにか「わくわくする予感」を提供してくれる世界はどこにあるのだろうか?そしてその世界がたとえあったとしても(ナノテクとかバイオとか?)それらもいずれは(あるいは既に)大きく、確実で、無難でなければ生きていけない世界に変化するのだろうか。
僕はすでに半身ぐらいIT業界に浸ってきているので、真剣に移るとしたら今が最後のチャンスかな、と時々考えるけど、どこへ移ってなにをするかまるで見当がつかなくてすぐにしぼむ。
現時点で思い浮かぶ刺激的な世界として、Weblogとその周辺世界がある。これは「産業」とは違って職を直接得る場にはならないだろうけど、せめてこの世界までも刺激がなくならないように。